共産主義時代にも休暇村として人々が訪れていたために、伝統や独自の魅力が残っていると言われています。
長い冬は雪に覆われていますので、セシを訪れる絶好の季節の到来に合わせて出発です!!
シュコドラから2時間半後に到着するボガという村までは新しく舗装された道が続きます。
それでも道中には車窓からは、岩肌の頂と、ちょうど芽吹き始めた緑をもつ山々の美しい景色が広がります。
しかし、その後道路は徐々に狭くなり、急こう配の舗装されていない九十九折りの道を進むことになります。
対向車があると、冷や冷やするような場面も・・・
あと少し下っていくとセシの村に辿りつきます。
1908年にイギリス人の作家エディス・ドゥルハム(Edith Durham)氏は、この村での滞在記録に“セシでの生活に惹きつけられていた。・・・世界中の他の何もかも忘れてしまった。私がもとの世界に戻る理由などないかの様に思われた。”と、本に書き残していますが、現在でも同様に、私たちの心を掴んで離しません。
人口の7割がイスラム教徒と言われているアルバニアですが、オスマン・トルコ勢力もこのような山奥深くまでは支配が及ばず、北部最大の都市シュコドラからこの地域一帯にかけては、キリスト教徒(中でもカトリック教徒)の方が主です。
セシ村を囲むようにアルバニアン・アルプスの高い山々がそびえ、またシャーラ(Shalë)地域の北部の標高700~950mのところに広大なセシ国立公園も広がります。
主に谷の底に地域はヤナギやハンノキが、中央部ではブナの森が広がります。
ブナの生息地より高いところは中東欧地域に見られるモンタナマツ(Mountain Pine)や、バルカン半島でもこの地域にしか見られないボスニアマツ(Heldreich Pine)が標高2300mあたりから生息しています。
何千種もの植物がセシ地域には見られますが、その中の約50種は絶滅の危機にある品種だそうです。
植物に関して言えば、オオバコ科のWulfenia baldaccii、フキ属のPetasites doerfleri、ユリ属のLilium albanicumなど、いくつかの品種がセシ地域や、モンテネグロやコソヴォとの国境を越えて横たわるこの山岳地域に特有のものだそうです。
一方、ヒグマ(Ursus arctos)、オオヤマネコ(Felis lynx)、ヤマネコ(Felis silvestris)、タイリクオオカミ(Canis lupus)、シャモア(Rupicapra rupicapra)などがセシを囲むように位置する山に生息していますが、オオヤマネコとヤマネコはアルバニアの高地においても特に珍しいです。
キツネ、イタチ、アナグマ、ヤブノウサギ、イノシシは広範囲に生息しており、急激に減少しているもののカワウソもアルバニア国内の多くの川で見られます。
セシ国立公園では豊富な種類の希少な鳥類も見られます。
シロエリハゲワシやイヌワシ、ヒメクマタカ、ノスリ、ハイタカなどの肉食性が見られ、もう少し標高の低い場所では南ヨーロッパで繁殖しアフリカへ越冬する優美なヨーロッパハチクイ、ヨーロッパアオゲラやアカゲラ、ヤツガラシ、ハマヒバリなどを筆頭に様々な鳥類を見ることができるそうです。
また、アルバニアやその隣国にではまだ見られますが東ヨーロッパでは激減しているキクガラシコウモリやユビナガコウモリ、その他世界的に絶滅危機にある種、南ヨーロッパにのみ生息する種などもアルバニアでは見られるそうです。
絶滅危機種のアポロウスバシロチョウ、ラージブルーなどの蝶や、ヘルマンリクガメ、両生類愛好家にはたまらない、ホクオウクシイモリやミドリカナヘビ、アカガエル、クスシヘビ、ハナダカクサリヘビなど爬虫類にも富んでいます。
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